Concours Kiri
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キリコンクール
金賞〜ベーカリー部門

星 敏幸さん(パレス ホテル/東京都・千代田区)

星 敏幸さん 自信があった作品でしたが、当日の作業室の寒さで全くうまくいかず、入賞することは絶対に無理だと思いました。

何回かこのコンクールにご参加いただいているみたいですが?
3年連続・3回目で、ようやく入賞できました。諦めなくてよかったと思います。最初に応募した3年前はリンゴを使った作品でした。でも書類審査は全くだめでして、その頃は他のコンクールも通りませんでした。昨年についてはゆずと味噌を使い、チーズを味噌漬けにして使ってみましたが、こちらも書類は通りませんでした。もう1回出してダメだったら諦めようと思っていた矢先に、思わぬ出会いがありました。ちょうどキリコンクールの本選時期の昨年8月ごろでしたか、会社の研修旅行でフランスに行きまして、普通のビストロで食事をする機会がありました。そのときトマトとクリームチーズを使った前菜が出てきました。驚くくらいの好相性で、その瞬間、来年はこれだと思いまして…。すぐにルセットを思い描くことができました。

では今年になって応募の際にはすんなり内容をまとめることができたんですね?
そうですね。ほぼ頭の中にあったルセットで応募しました。実際に試作してみても、自分としても、なかなかの出来で、「こういうパンは滅多にないな」と思いました。今回はトマトをふんだんに使用していますが、生地に通常用いるような水分を使わず、素材のトマトジュース、ペースト、ピューレが含んでいる水分だけにしました。実は、トマトの酸味がパンの発酵を邪魔するので、相性はあまりよくないというのは、パン作りの通説でして…。しかし何とかなるような気がし、挑戦してみましたら意外とうまくできてしまいました。

それほど自信をお持ちの作品でしたら、書類審査通過の連絡は驚きがなかったんじゃないですか?
いえいえ、やっぱり驚きました。そこからは、最終審査に向けて、何度も何度も練習をしていきました。コンクールはどんなに実力があっても、あるいはどんなにいいルセットでも、本番で発揮できなければだめですから。今回は内容に自信もありましたし、それなりに練習もして臨みましたが、本番が思いのほかうまくはいきませんでした。

本番がだめとおっしゃいながら金賞は立派ですが?
今振り返ってみれば、よく受賞できたものだと思います。実は当日の実技を行う教室がものすごく冷房が効いていまして、これが自分の作品にとってはかなり足を引っ張る結果となりました。生地が部屋の温度の低さで冷えてしまい、なかなか発酵が進みませんでした。他の出場者も同じ状況なのかと思って周りを見回すと、逆にプラスに働いていそうな作品もいくつかありましてあせりました。通常は材料を冷蔵庫で保管しておいて、作業する直前に出し、自然に常温に戻したり、解凍したりして使いますが、冷蔵庫から出したところでその部屋が寒いのですから冷たいままで、思ったような温度に上がらなくて…。そこで冷房がかかっていない、暑い廊下に放置したりと策を講じました。途中で廊下を掃除していた方にゴミと間違えられ、捨てられそうになったりもしました。こういった状態でしたから、まさか入賞するとは全然思いませんでしたし、審査の際のプレゼンでも、審査員の方々には厳しい講評を頂戴しました。でもそれは非常に自分にとって参考となりました。

では発表をお聞きになってびっくりですね?
そうですね。名前が呼ばれるとは思っていなかったですから。部門からは銀賞と金賞もしくは最優秀賞の2作品が表彰されることになっていましたが、銀賞の方が選ばれ、もう1名は他の方だと思っていましたので、油断しておりました。でも本当に嬉しかったです。会場に来てくれた後輩が、自分以上に喜んでくれて。「来年は僕も出ますから!すぐパーティから帰って試作用に仕込みたいです。」と言ってくれたほどでした。

どうしてパン職人になろうと思われたのですか?星 敏幸さん
実は中学校くらいまではパンが嫌いでした。でも高校に入って、何でもとてもおいしそうに食べる友人がいまして、彼があるお店のコロッケパンをくれたことがありました。コッペパンにコロッケがはさんであるだけのシンプルなものでした。その友人が食べている様子を見ていて、つられて食べてみたら「おいしい」と思いまして…。そこからパンを好きになりました。小麦粉という物体が膨らんだり、色々な形に変ったりすることは“すごいこと”だと思えてきたわけです。最終的には高校卒業後の進路を決めるときに、「食」に関わるという部分は決めていましたから、パン職人になりたいと決意して、現在のパレスホテルに入社いたしました。

今までのキャリアを振り返るといかがでしょうか?
もう17年くらいになりますが、一人前だと自分でも思えるようになったのは、ここ10年くらいです。入社当時は、専門学校にも行かずに飛び込んだ世界でしたので、全てについて一から学ぶという状況でした。全くの素人でしたから、今思うとその当時の上司がすごくどっしりしていて、色々と支えてくれて、学ばせてくれたのだと思います。だからこそ自分もこれから後輩をしっかり育てていけるような、“どっしりと”存在感のある先輩になっていきたいと思います。

ベーカリー部門金賞作品

■星さんの入賞作品は、「パレスベーカリー」(パレス ホテルB1F)にて販売予定。
営業時間:10:00〜21:00
TEL:0120-77-0597(フリーダイヤル、レストラン予約直通)

「kiri Tomate duo」
価格は260円(消費税別)です。

パレス ホテル
東京都千代田区丸の内1-1-1
http://www.palacehotel.co.jp