Concours Kiri
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キリコンクール
最優秀賞〜アシェット部門

猪瀬文俊さん(レストラン ナチュラルセンス/茨城県・筑西市)

自分にとってコンクールとは、自分をブラッシュアップさせるための非常に貴重な経験の場だと思っています。 猪瀬文俊さん

中華の料理人でありながら、なぜキリコンクールに応募されたのでしょうか?
うちは家族経営のレストランで、父が日本料理、僕が中華料理、弟がフレンチ&イタリアンを担当していて、3つのカテゴリーの料理がひとつの空間で楽しめることがひとつの特徴でもあるんですよ。弟が2、3年前からキリコンクールに応募していて、それでコンクールの存在自体は知っていました。自分でも昨年くらいからいくつかコンクールには応募して、中には優勝できたものもありました。今年弟が他のコンクールで忙しく、キリコンクールには応募できなかったんですが、じゃあ僕がやってみようかなと何となく思いましてね。自分自身があまり枠にとらわれるタイプでもないし、それにデザートを強化していきたいという思いもあって、地元の洋菓子店などで教わったり、独学で勉強したりしていました。だから作品を特に中華デザートだと思って作ったわけではないですね。

コンクールで色々と実績をお持ちであれば、かなり応募されて自信があったのですか?
いやいやとんでもないですよ。キリコンクールはプロのパティシエの方々にとって名誉あるコンクールだと思いますし、ほとんどそういった製菓のプロの方々がご参加されるわけですから、まともに生菓子や焼菓子では勝負できないだろうと思っていました。そこで、レストランでの経験、つまり、皿盛りデザートの“作りたてのおいしさ”をお客様に提供していますから、ここで勝負かなと思い、アシェット部門に参加したんです。まあまあのレシピができたかなと思いましたが、まさか通るなんて全く…(笑)。書類審査通過のご連絡を弟が受けたのですが、ものすごくびっくりしていましたね。それからは実技審査まで時間内にでき上がるように、あるいはイメージ通りに仕上がるようにと、何度も何度も繰り返して練習を行いました。

じゃあ当日は比較的落ち着いてできたんですね?
猪瀬さん そうですね。緊張せずにできました。製菓学校のアシスタントの方にも色々とアドバイスをもらいましたしね。それに実は前日の夜、友人と飲んだのですが、彼が「猪瀬、前祝いだ!」とか言って、大勢の仲間でガンガンいっちゃって…。コンテストを控えて夜中の2時まで飲み明かしてしまいました。あまり、コンテスト前の出場者らしからぬ行動ですけれど、それが緊張を解きほぐしてくれたのかもしれないですよね。実際にやってみて自分ではよくできたかなと思いましたが、ふと周りを見れば著名なパティシエの方々ばかりで…。本当にきれいなものを作られるんですね。そういった一流パティシエの方々の技術を間近に見ることができて嬉しかったですが、それに比べれば自分なんてとてもダメだと思いました。ですから最優秀賞をいただいて本当にびっくりしましたよ。

どの辺が高く評価されたとご自分では思っていらっしゃいますか?
比較的見た目はシンプルな作品に見えるのではないかと思いますが、実は色々な構成要素が絡んでいます。しかし、味わいはきちんとまとまっている、といった点でしょうか?料理を作るとき、何を食べてもらいたいか、明確に料理人の思いや考えがお客様に伝わるように心がけています。様々なものが含まれていても、これを味わってもらいたい、という点が分かる料理にしたいと思いますね。

ご自身のプロフィールについてお伺いしたいのですが、もともとご実家は日本料理店ですよね?
父は東京で天ぷら職人として務めていて、数十年前に地元に戻って店を始めました。息子ふたりにも料理人になることを希望していたようですが、それは和食ではなく、父とは違う分野の中華料理や西洋料理に進んで欲しかったそうです。自分も弟も自然の流れでそれぞれの道を目指すことになりました。専門学校には行かず実践をと思い、東京の広東系の中華料理店へ入り、その後は台湾で修行したシェフがいる店に移りました。ここは今の自分のスタイルにとっては大きな影響を受けた店でしてね。一番勉強になったのは材料の組み合わせです。素材や調味料の組み合わせ、たくさんの種類を使うわけではないのですが、つねになかなか思いつかないような組み合わせで、素晴らしい料理が生まれていました。ここのシェフはこれを台湾で学んだと聞いて自分も行ってみたいと思うようになり、そこの店から出て半年間ほど台湾の店で働きました。東京の店で学んだ“組み合わせの妙”というものをさらに肌で実感できましたね。

それから地元に戻られたのですか?
猪瀬さんええ、帰ることは決めていましたから。東京に出て10年ほどたっていました。戻ってからは、地元で商売をするために、“マーケティング”という意味合いで、ラーメン屋とファミレスで働きました。東京と違って地方はお客さんの数が限られている中で集客していかないといけないですから、もちろん今まで学んできたものを最大限に生かすにしろ、地元の人たちが好むような味付けの傾向だとか、量だとか、値段だとかその他もろもろの参考にするためでした。そして10年前に今の店をオープンしたわけです。ご覧の通り家族経営でやっていて、自分の料理は他にスタッフがいるわけでもなく、一から十まで自分でこなしています。自分の店で自分で企画し、それを食べにきてくれて、喜んでくれる方々がいますから、大変だと思ったことは無いですね。でも、ひとりだからこそ、ひとりよがりになってはいけないし、変化していくトレンドにもちゃんとついていかないといけないと思っています。だからこそ、さまざまな面でアンテナを張り巡らし、自分を高める努力を欠かさないようにしようと考えています。そういった意味ではコンクールというのは、自分にとっては自分をブラッシュアップするための非常に貴重な経験の場だと思いますね。

■猪瀬さんのレストランでは、デザートメニューのひとつとして今回の作品が加えられました。

最優秀賞作品
最優秀賞作品
最優秀賞作品

「レストラン ナチュラルセンス」
茨城県筑西市伊佐山125 (JR水戸線川島駅から徒歩5分)
TEL:0296-28-0400
営業時間:Lunch…11:00〜14:00/Dinner…17:30〜21:00
定休日:月曜日